基本
駒の動かし方
▶はじめに
駒は「王将」「玉将」「飛車」「角行」「金将」「銀将」「桂馬」「香車」「歩兵」の9種類があります。 駒の行動範囲を覚えるのが、初めの第一歩でしょう。 それではそれぞれ駒の行動範囲が違うので見ていきましょう。
(1)歩兵(ふひょう)
歩兵は前に一マスずつ前に動くことができます。前以外ヨコにも後ろにも動けません。
しかし最弱といえど、上手な歩の使い方を覚えることで、棋力が劇的に上がりますので侮れませんね。
また、歩兵が成ると「と金」となって、金将と同じ行動範囲になります。

(2)香車(きょうしゃ)
香車は前に一直線。どこまでもまっすぐ進むことができます。ただし、ヨコや後ろには動けないのは歩兵と同じです。
前に自分の駒があるときは、その手前までしか動けません。
香車が成ると「成香」となって、金将と同じ動き方をします。

(3)桂馬(けいま)
桂馬は9種類の中で一番変わった動き方をします。自分の駒の二つの横、二か所に動くことができます。 また桂馬だけは自分の駒の前に別の駒があったとしても、その駒と同じように、自分の駒がある場所に進むことはできません。 桂馬が成った場合も、「成桂」となって、金将と同じ動き方をします。

(4)銀将(ぎんしょう)
銀将と金将はよく似た動き方をします。銀将は前と斜め前二か所、それにナナメ後ろ二か所。
合計五つの場所にひとつずつ動くことができます。
銀将が成った場合は「成銀」となって、やはり金将と同じ動き方をします。

(5)金将(きんしょう)
金将は前、後ろ、ナナメ前の合計六か所に動くことができます。自分の駒があるところに動くことができないのはほかのすべての駒と同じです。 金将と銀将をまとめて「金銀」または「金駒」とまとめて呼んだりします。

(6)角行(かくぎょう)
角行はナナメ筋上をどこまでも動くことができます。ただし、他の駒を跳び越えて動くことはできません。 駒の跳び越えて動けるのは桂馬だけです。初心者がまず躓くのは、角行の使い方とよく言われています。


(7)飛車(ひしゃ)
飛車はタテとヨコにどこまでもまっすぐ動くことができます。他の駒を跳び越えて動くことができないのは角行や香車と同じです。飛車も角行と同じように、攻めにも守りにも強い2大エースです。飛車と角行を「大駒」とまとめて呼んだりします。


(8)(9)王将、玉将(おうしょう、ぎょくしょう)
王将、玉将は前後左右ナナメの八か所、すべての方向にひとつずつ動くことができます。
他の駒を跳び越えたり自分の駒があることころに動くことはできません。
「玉将と王将の違いはなに?」と思われた方がいるかもしれません。結論からというと違いはありません。
駒を並べるときに、上位者または年長者が「王将」を取り、下位者が「玉将」を取って並べるために使い分けます。古来の日本人らしい心遣いですね。

▶成るとは
将棋盤の中で手前の三段目までを「自陣」、向こう側の三段目までを「敵陣」と言います。移動して敵陣に入った駒は、「成る」ことができます。 敵陣に入った駒は、裏返して行動範囲を変えることができます。これが「成る」です。駒をひっくり返して裏側を見ると、玉将、王将、金将以外の6種類の駒には漢字の崩し字が書かれています。つまり、玉将、王将、金将以外の駒はなることができます。 基本的に駒は「成る」ことで行動範囲が増えて強くなりますが、成らずにそのまま使ったほうが良い場合もあります。

▶指すと打つ
指すとは、盤上の駒を使って動かすことを言います。また打つとは、駒台に乗っている駒を使って打ち込むことを言います。 将棋は「指す」といい、囲碁は「打つ」とよく言われます。これは、囲碁は持ち石を打ち込むことしかないのに対して、将棋は盤上の駒を動かす(指す)ことに由来します。
▶駒を取る
将棋は相手の駒があるところに自分の駒を進めると、相手の駒を取ってしまうことができます。
取った持ち駒は、自分の駒台において、自由に打ち込むことができます。
このように、自分の駒が動くことのできるところにある相手の駒は、その場所に自分の駒を進めて取ってしまうことができます。相手の駒を取ることは、相手の駒が盤上から消えて自分の味方(持ち駒)になることなので、基本的に持ち駒を増やすことが勝負に勝つコツです。
しかし、後述しますが、将棋は持ち駒を増やすゲームではありません。相手の玉将を詰ませることが勝利条件となりますので、くれぐれも注意してください。
▶駒を打つ
取って自分の持ち駒にした相手の駒は、次に自分の手番になればルールに違反しない限り、自分の好きなマスの中に置くことができます。これを「駒を打つ」といいます。
また、取った駒の行動範囲は元に戻るので注意してください。例えば、相手の「と金」を取って持ち駒にしたとします。打ち込むときは初めから「と金」としては打ち込めません。
この場合は「歩兵(駒の表側)」としてしか使えないということです。同じように、龍や馬、成銀、成桂、成香も駒を取った後は、飛車、角行、銀将、桂馬、香車に戻ります。